【厚生労働省調査】退職理由ラインキングでは、「能力・個性・資格を生かせない」という理由で退職した人が8番目に多い結果となっています。
能力・個性・資格を生かせない場合の原因と対処法についてみていきましょう。
目次
能力・個性・資格を生かせない原因
原因①:そもそも業務に必要ない
そもそものそもそもの話をしたいのですが、
生かせないと考えるあなたの能力って何ですか?
生かせないと考えるあなたの個性って何ですか?
生かせないと考えるあなたの資格って何ですか?
この中で3番目の資格について、まず資格があるかないかは明確ですが、あとの2つ、能力と個性って、かなりの主観が入っているものです。
たとえば、「私は、エクセルを扱う能力が高い」と考えていたとしても、エクセルの関数の知識、グラフ作成の知識、マクロの知識、VBAの知識、資料作りの知識など任された仕事をこなすために必要な知識は違います。
単に「エクセルの能力が高い」といった場合、エクセルに関する全てを完璧に理解し、操作できることを言っているのか、エクセルの資格を持っていることを示すのか、など基準があいまいです。
個性に関しても同じく、基準はあいまいです。
その点、資格は持ってるか持っていないかは明確です。
しかし、この3つともに共通する大事なことは、「業務を遂行する上でプラスに作用するかどうか」です。
さきほどのエクセルを例にとると、業務内容としてエクセルでグラフを使った資料作成を求められているのに、「私はエクセル関数がすごい、なぜこの能力が認められないんだ!」といったところで、必要ない能力が認められるわけがありません。
会社は学校や家とちがって、しっかり目的があって、その目的達成に役立つかどうかが重要なんです。
資格に関してもその視点で考えると、業務に必要のない資格をもっていても、当然生かすことはできません。
資格に関しては、そもそも会社で必要とされるものは限られています。
間違いなく必要とされるのは、「免許」の要素のある資格です。
その資格をもっていない人が業務を行うと法律違反になるような資格です。
たとえば、弁護士や医師、社労士といった士業関係です。
エクセルの資格をもっていたり、語学の資格をもっていたり、TOEICで満点をとっていても、業務に使えないのであれば意味ないんです。
だから、能力・個性・資格が生かせない原因は、業務に必要ないものをもっているからです。
原因②:「非認知能力」が低いから(会社員として必要なことは「能力・個性・資格」以外にあるから)
とてつもなく仕事のできる人が1人いたとして、その人は、定時の退社時間まで他の人を超える業務をこなし、さっさと帰宅したとすると、周りの人はどう思うでしょうか。
きっと「あいつ、仕事できるけど、感じ悪い」という評価になります。
そんな評価の職場では働きにくいのは当然です。
だから、そこで転職に踏み切ることができればいいですが、中には転職するリスクを回避するため、その会社にとどまるという選択肢をとる人もいます。
会社にとどまるからには、周りの社員から目立つような尖った行動をおさえるようになり、結果、能力や個性が死んでいくんです。
こういった状況になる原因は、日本独特の「出る杭は打つ」「みんな同じでないといけない」「自分が我慢しているから、お前も我慢しないといけない」といった歪んだ共同体感覚にあります。また同調圧力ともいいます。
こうした圧力にくっせず、うまくやっていく能力が必要です。
情報処理を素早く的確に行う能力は「認知能力」といいます。いわゆるIQのことです。
しかし、人とうまくやる能力は認知能力以外の能力、EQといったりしますが、「非認知能力」といいます。
この非認知能力が低いことが、自身の能力・個性・資格を生かすことができない原因でもあります。
原因③:あなたは天才で、周りの人が凡人だから?
2019年に話題になった『天才を殺す凡人 職場の人間関係に悩む、すべての人へ』という本で、
世の中には「天才」と「秀才」と「凡人」がいる。三者の間にはコミュニケーションの断絶がある。凡人は天才を理解できず、排斥する。
と指摘しています。
この本ではないですが、「IQが20違うと会話がかみ合わない」という話もあります。
日本人の平均IQは100程度といわれていますが、日本人で最高のIQはなんと188.太田三砂貴さんという方です。
太田さんはかなりの特別ですが、高IQ集団のMENSAによると入会の条件の上位2%はIQ130だそうです。
「自分の能力・個性・資格を生かしたい」と考えている人は、まず普通に考えると「能力が高い」からそのように考えていると推測できます。
そして、IQも高いことが推測できます。
しかし、人事権のある人がIQが低ければ、「この人の能力を生かすにはどうしたいいか?」という考えにおよびません。
実際、日本人最高IQ188の天才の太田さんは、アメリカに渡米して働きましたが、そのとき学歴を理由に電話番とか誰でもできる仕事しかさせてもらえなかったそうで、それを理由に帰国しています。
個性を尊重するアメリカですらこのような状態なので、同調圧力文化のある日本のひどさは想像できます。
またこれはマイノリティの問題でもあります。
上位2%のIQの人は、残り98%の人に対して圧倒的に少数派です。
論理的、科学的に正しいことでも、多数決で負ければ間違いとなってしまう世の中です。
少数派のマイノリティがどんなに主張をしても、多数派の心には届きません。
LGBT、HSP、在日コリアンといった外国人などもそうです。
自分たちの主張を一生懸命しても、結局多数派の心には届かないんです。
多数派には多数派の正義があって、たとえ論理的、科学的に間違った根拠不十分な正義であって、多数派が勝ってしまう世の中なんです。
だから、もしIQが高く、社内で能力・個性が生かせないと感じるなら、そこで争わず、さっさと退職して、能力・個性を生かせる職場を探すのが賢明です。
能力・個性・資格を生かせない場合の対処法
それでは、持っている、能力・個性・資格を仕事に生かすにはどうすればよいでしょうか?
それは、先ほど上記の説明にヒントがあります。
生かせるかどうかというのは、つまり「業務遂行に必要かどうか」です。
だから、「業務に必要な能力・個性・資格っていったい何なのか?」を考えることがまず必要です。
業務に必要なこと、それは会社が必要としていることです。
会社が必要としているのは、利益をあげることです。
利益を出すのは、商品やサービスをうける顧客がその対価として支払うところからうまれます。
そして、顧客が対価を支払うのは、商品やサービスに価値を感じているからです。
なぜ、価値を感じるかというと、顧客が自分にとって必要なもの、なくてはならないものだと考え、お金を出してでも欲しいと思うからです。
つまり、一言でいうと顧客自身の悩みの解決のため顧客はお金を支払うのです。
自分も消費者側の気持ちを思い出して、どんなときにお金を出しているか考えてみてください。
たとえば、
電車に乗る、タクシーに乗る、コンビニで飲み物を買う → 便利だから → ラクしたいから
美味しいものを食べる、お酒を飲む → 満たされたいから
遊園地など遊びにいく → 楽しみたいから
このように、「ラクしたい」という悩み解決、「満たされたい」という悩み解決、「楽しみたい」という悩み解決、消費者は、自身の悩み解決のためにお金を払うのです。
だから、まずは自分の顧客がどんなことを望んでいるか?を考え、それを満足させる商品やサービスを提供する、それに生かす能力・個性・資格があればいいのです。
そんな能力・個性・資格は会社からも重宝されます。
「能力・個性・資格が生かせない」と考えているのは、このビジネス感覚に欠けた発想です。
働き方が多様化しているので、探せば自分を生かせる職場も見つかるかもしれません。
だから、生かせる場を探して転職するというのも1つの手です。